本HPでも昨年来、2011年度税制改正大綱の概要を説明しておりましたが、同大綱はその後1月25日に法案として国会に提出されたものの、東日本大震災の影響等もあって審議が進んでおりませんでした。
このたび、これらの改正内容のうち一部が切り出され、「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」として、6月10日に国会に提出され、可決・成立後、30日に公布されましたので、改めて同法律案として公布された内容を下記にまとめます。
なお、1月25日に法案として提出された他の改正内容については、「所得税法等の一部を改正する法律案」として、継続審議されます。
年金所得者の確定申告等 | 公的年金等にかかる雑所得を有する居住者(年金所得者)で、その年の公的年金等の収入金額が400万円以下であるものが、同公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である時は、平成23年分の確定申告から確定申告書の提出が不要になりました。(但し、医療費控除などを受ける場合は申告が必要です) また、平成25年以降の年金からは、源泉徴収税額の計算の際に寡婦または寡夫控除(月額2万2500円)が追加されます。 |
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確定申告書の提出期限 | 確定申告書の提出期限(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について、申告義務のある者の還付申告書は、その年の翌年1月1日から提出可能となります。 平成23年分以後の所得税について適用。 |
電子申告の税額控除 | その年の確定申告を電子申告により行うものに対しては、平成19年分から平成22年分のいずれかの年分で1回、所得税額から最高5,000円(その年分の所得税額を限度とします。)の税額控除を受けることができましたが、これが2年間延長されます。 但し、平成23年分は4000円、24年分は3000円となります。 |
証券優遇税制の延長 | 上場株式や公募株式投信の売却益、配当金、分配金への課税について、現在の軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)が2013年末まで延長されます。 |
デリバティブの店頭取引 | FX取引等には取引所取引と店頭取引があるが、2012年からこれまで取引所取引にのみ適用されていた申告分離課税を店頭取引にも適用し、両者の違いをなくすことになりました。 これにより、税率は一律20%、利益よりも損失が多く、その年で引ききれない損失が残る場合は、確定申告をすれば損失額を繰り越し、翌年以降3年間の利益と相殺することが出来るようになります。 |
金地金の売却 | 2012年以降、金地金、金貨を取引業者に売却し、その1回の売却額が200万円を超える場合、取引業者はその売却の情報を「支払調書」として税務署に提出することが義務付けられました。 |
年金受給型生命保険 | 死亡保険金を年金の形で受け取る生命保険については、昨年7月最高裁において「相続税と所得税の二重課税は違法」という判決が下され、既に2006年分以降の徴収しすぎた所得税の還付手続きが実施されていますが、今回2000年分から2005年分までの所得税についても2012年6月29日までに手続きすれば還付されます。 |
認定NPO法人への寄付金 | 認定NPO法人への寄付金について、下記の所得税の税額控除が2011年分から導入されます。 所得税の税額控除=(寄付金の額−2000円)×40% |
中間申告制度について | 次の場合には仮決算による中間申告書を提出できないこととされました。
前年度の年税額が20万円を超える場合は中間申告が必要ですが、仮決算による中間申告が出来るのは、申告額が予定納税額以下になる場合に限られます。 |
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住宅取得等資金の 贈与の特例 | 父母、祖父母等から住宅購入用資金をもらう際に適用される非課税枠(住宅取得等資金の贈与の特例、今年は1000万円)の対象に、マイホームの新築に先立って取得する土地が加わりました。 (但し、贈与の年の翌年3月15日までに新築する必要があります) |
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免税事業者の要件 について | 事業者免税点制度における免税事業者の判定時期の要件が見直され、現行前々年(前々事業年度)の課税売上高が1千万円以下であれば免税事業者となることができましたが、これを前年(前事業年度)の前半6か月で判定することとされます。
すなわち、課税売上高が1千万円を超えることが期の途中(具体的には半期経過後)で明らかになった場合には、翌期から課税事業者となります。 |
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課税仕入れ税額控除 について | 現行では課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できますが、この制度を適用できる事業者を、その課税期間の課税売上高が5億円以下のものに限ることとされます。 |
故意の無申告者への罰則 | 故意に確定申告書などを期限までに提出しないことにより、税を免れた者に対して、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金刑を科すことが決まりました。 公布(6月30日)から2カ月経過後の違反行為から適用。 |
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