このページでは、個人として事業を行う場合と法人を設立して事業を行う場合に共通する項目について解説を加えると共に、当事務所のサービスについても最後に触れています。
参考になさって下さい。
個人事業と法人設立
開業にあたって、もしくは個人として事業を継続する中で、個人事業として事業を行っていくのが良いのか、或いは法人を設立して事業を行っていくのが良いのかを検討する機会が生じることがあると思います。
どちらが有利かということに関しては、定量的なアプローチ(数字で比較することが可能な部分)と定性的なアプローチ(数字では表せない部分)の両方が必要です。
法人と個人で取り扱いがどのように違うのかを、様々な角度から比較した一覧表を下記にまとめていますので、参考になさって下さい。
項目 | 法人 | 個人事業(青色申告の場合) |
税率 | 資本金が1億円以下の中小法人の場合、800万円までの所得については19%(現在、租税特別措置法で15%)、800万円を超える所得については25.5%とされている | 税率だけでみた場合、下記の通りとなっており、所得がおよそ900万円を超えるようなら、法人の税率の方が有利と言える
195万円以下 : 5% 330万円以下 : 10% 695万円以下 : 20% 900万円以下 : 23% 1800万円以下 : 33% 4000万円以下 : 40% 4000万円超 : 45% |
経営者の給料 | 役員報酬を毎月定額で受け取ることが出来る。 1. 役員報酬は損金に算入できる。 (但し、特定の同族会社には損金不算入の扱いあり) 2. 役員報酬は給与所得控除を受けることが出来る。 | 事業主の給与は必要経費にならない。 |
経営者の家族 への給与 | 労働の対価に見合う額の給与を支払うことが出来る。 1. 損金に算入される。 2. 103万円以下なら配偶者控除や扶養控除を受けることが出来る。 | 届出により労働の対価に見合う額の給与は必要経費になる。
1. 但し、たまたま手伝いをし日当を払っても必要経費にならないことがある。 2. 給与の額が103万円以下でも、事業専従者となった場合、配偶者控除や扶養控除を受けることが出来ない。 |
退職金 | 経営者または経営者の家族へ退職金を損金として支払うことが出来る。
1. 生存退職金は退職所得になり、所得税が軽減される。 2. 死亡退職金はみなし相続財産となり、非課税枠があり税務上有利。 | 事業主又は事業主と同一生計内の親族へ退職金を支払うことはできない。 |
(経営者またはその家族所有の) 事業用資産の賃料 | 通常の額の賃料は損金になる。 1. (例)家賃、支払利息 2. 受け取った方は不動産所得、雑所得になる | 事業主または事業主と同一生計内の親族へ支払う賃料は必要経費にならない。但し、その資産の所有による費用は必要経費になる。 |
(経営者を被保険者とする)生命保険料 | 一定のものは損金になる。 | 必要経費にはならない。 |
その他 | 1. 経営者の出張日当は損金になる。 2. 繰越欠損金は10年間使える。 3. 消費税では、資本金1000万円未満の法人は、原則として設立後2期間は免税事業者になる。 4. 交際費は一定の額を超えると損金不算入になる。 | 1. 事業主の出張日当は必要経費にならない。 2. 繰越損失は3年間しか使えない。 3. 消費税で、事業開始後2年間は原則として免税事業者になる点は法人と同じ 4. 交際費は事業の遂行上必要と認められるものは全額必要経費になる。 |
項目 | 法人 | 個人事業(青色申告の場合) |
イメージ | 会社としての企業イメージが高い。(営業活動や人員募集の際有利) | 法人に比べて企業イメージは低い。 |
融資 | 会社は融資を受けやすい(第3者保証人が不要になることも) | − |
経営合理化 | 1. 財産を法人と個人に明確に区分しやすい 2. 経営分析がしやすい | 1. 財産を事業用と個人用に明確に区分することが難しい 2. 経営分析が難しい |
項目 | 法人 | 個人事業(青色申告の場合) |
決算日 | 都合の良い日を決算日にできる | 12月31日が決算日 |
事業承継 | 1. 事業用財産が株式になり、生前に株式の移転を行うことが出来る 2. 経営者の交代手続きが容易 | 1. 事業用財産をそれぞれ名義変更することになる 2. 経営者の交代には従業員、金融機関、取引先等に所定の手続きが必要 |
社会保険 | 経営者及びその家族も社会保険に加入できる。(保険料の半分は会社の必要経費として損金算入できる) | 事業主及びその家族は国民健康保険に加入する |
項目 | 内容 |
設立費用 | 約30万円かかる |
維持費 | ・利益の有無にかかわらず税金(均等割)が最低でも年間7万円かかる ・役員変更、本店の移動などの変更は、その都度登記する必要があり費用がかかる ・会計事務所の報酬が個人事業より高くなる |
消費税の取り扱い
これまで消費税において課税事業者になるかどうかの事業者免税点の判定については、当課税期間の前々年もしくは前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1000万円を超えたかどうかでなされていました。このため、新規に開業した個人や法人の場合、開業後2年(2事業年度)間は消費税の免税事業者となることが出来ました。しかしながら、平成23年の税制改正において、これを、前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6ヶ月間(特定期間)の課税売上高が1000万円を超えたかどうかで判定されることになりました。尚、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することが出来るものとされています。
改正後の基準において、消費税の課税事業者もしくは免税事業者のいずれに該当するかを判定するためのフローチャートは以下の通りとなります。
下記STEP1~4において、1から順に4までのいずれかの項目に「はい」にあてはまるものがある場合、当課税期間において課税事業者となります。逆に1から4までのいずれの項目も「いいえ」としてあてはまるものがない場合、当課税期間にいて免税事業者となります。
注1. 給与等支払額とは特定期間中に支払った所得税の課税対象とされる給与、賞与等の合計額です。未払給与等は対象となりません。
注2. 特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)の判定により課税事業者となる場合は、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに所轄の税務署長に提出しなければなりません。
【ポイント】
特定期間の課税売上高が1000万円を超えていても給与等支払額が1000万円を超えていなければ給与等支払額により免税事業者と判定することが出来ます。
課税売上高に代えて、給与等支払額で判定することが出来ることとされていますので、必ず両方の要件で判定を行う必要はなく、例えば特定期間の課税売上高の集計を省略し、給与等支払額の基準のみで判定しても差し支えないことになります。
【適用開始時期】
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用。したがって、個人事業者及び事業年度が1年の12月決算法人の場合、特定期間は平成24年1月1日から6月30日となります。
当事務所のサービス
新規開業や法人設立に関する当事務所のサービスは以下の通りです。
項目 | 内容 |
各種申請・届出 | お客様毎に必要となる書類を特定し、書類作成の上、関係各所へ提出します。また、法人の設立に際しては、提携している司法書士の事務所をご紹介し、設立がスムーズに行えるようサポートします。 |
ソフト導入サポート | 会計ソフトを導入されたいお客様には、市価より安い価格でのソフト購入、或いはクラウドを利用した無償の会計ソフトをご紹介します。もちろん、導入後の初期設定や入力の仕方の説明などは丁寧にさせて頂きます。 |
仕訳サポート | ご自身で仕訳をされるお客様に対しては、基本的な仕訳の考え方を始め、お客様の実情に合わせた、よくある取引の仕訳例などをお教えし、スムーズに記帳が行えるよう指導させていただきます。 |
融資サポート | 金融機関のご紹介なども適宜行わせていただくと共に、開業当初の資金調達に際して、金融機関に提出が必要となる創業計画書や事業計画書などをヒアリングに基づき一緒に作成させていただきます。 |
上記は基本的に当事務所と顧問契約を締結していただいたお客様へのサービスとなりますが、年1回の飛び込み決算書作成サービス等も提供させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
参考(許認可届出)
許認可の届け出が必要な主な業種は以下の通りです。
届出先 | 業種 |
保健所 |
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都道府県庁・その他 |
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警察署 |
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当税理士事務所は、企業及び個人の決算申告はもとより、相続・贈与等にも対応しています。税務・会計の専門家としての経営アドバイスにも自信があります。
山口市以外での相続のご相談も承っております。どうぞお気軽にご相談下さい。