昨年12月16日の臨時閣議で平成23年度税制改正大綱が決定されました。本改正内容は今年1月の税制改正関連法案の国会での可決を経て初めて成立となるわけですが、ご承知の通りのねじれ国会の状況では法案成立は予断を許しません。
しかしながら、今回の大綱に盛り込まれた内容はあらゆる方面にわたって大きな影響が出て来ますので、ここでその概要を税目別にまとめておきたいと思います。
1.平成23年4月1日以降に開始する事業年度について、法人税の税率を下記の通り引き下げる。
2.減価償却制度について、平成23年4月1日以降に取得する減価償却資産の定率法の償却率を定額法の償却率の2.0倍(現行2.5倍)とする。
3.欠損金の繰越控除制度等について下記の見直しを行う。
4.貸倒引当金制度について、適用法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定する。但し、これらの法人以外の法人について、平成23年度から平成25年度までの間に開始する各事業年度については一定の経過措置を設ける。
5.一般の寄付金の損金算入限度額について、下記の通りの引き下げを行う。
区分 | 損金算入限度額 |
---|---|
資本の金額又は出資金額を有するもの | (所得基準額+資本基準額)×1/4(現行1/2) 所得基準額=(所得の金額×2.5/100) 資本基準額=(資本金額等+資本積立金額)×2.5/1000 |
上記を有しないもの | 所得の金額×1.25/100(現行2.5/100) |
6.公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出を行った法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度で、当該事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度に比して10%以上かつ5人以上(中小企業等については2人以上)増加したこと等の公共職業安定所の長の確認を受けた場合、一定の要件の下、当該事業年度の法人税額から、下記金額を控除できる制度を新たに設ける。
控除額=増加した雇用保険一般被保険者の数×20万円(当期法人税額の10%(中小法人等は20%)を限度とする)
1.事業者免税点制度における免税事業者の判定時期の要件を見直し、現行前々年(前々事業年度)の課税売上高が1千万円以下であれば免税事業者となることができたが、これを前年(前事業年度)の前半6か月で判定することとする。
すなわち、課税売上高が1千万円を超えることが期の途中(具体的には半期経過後)で明らかになった場合には、翌期から課税事業者となる。
2.現行では課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できるが、この制度を適用できる事業者を、その課税期間の課税売上高が5億円以下のものに限ることとする。
1.給与所得控除について以下の見直しを行う。
収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
2000万円<収入金額≦2500万円の場合 | 245万円-(収入金額-2000万円)×12% |
2500万円<収入金額≦3500万円の場合 | 185万円 |
3500万円<収入金額≦4000万円の場合 | 185万円-(収入金額-3500万円)×12% |
4000万円<収入金額の場合 | 125万円 |
2.勤続5年以下の役員等の役員退職手当等にかかる退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止する。
3.成年扶養親族(23歳以上70歳未満の扶養親族)に対して適用する成年扶養控除について新たに条件を設け、以下に掲げる居住者がいる場合にのみ総所得金額等から成年扶養親族1人につき38万円を控除する。
4.認定特定非営利活動法人(NPO法人)及び公益社団法人等への平成23年1月以降の寄付について、下記の税額控除制度を導入する。
税額控除額=(寄付金額-2000円)×40%(注:更に同10%分は住民税額から控除)
1.基礎控除について以下の見直しを行う。
5000万円+1000万円×法定相続人の数→3000万円+600万円×法定相続人の数
2.税率構造を下記の通り見直し、最高税率を50%から55%に引き上げる。
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
1,000万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
3,000万円 〃 | 15% | 〃 | |
5,000万円 〃 | 20% | 〃 | |
1億円 〃 | 30% | 〃 | |
3億円 〃 | 40% | 2億円以下の金額 | 40% |
3億円 〃 | 45% | ||
3億円超の金額 | 50% | 6億円 〃 | 50% |
6億円超の金額 | 55% |
3.死亡保険金に係る非課税枠(500万円×法定相続人の数)について、非課税枠として採用できる法定相続人を未成年者、障害者、及び相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限ることとする。
4.未成年者控除及び障害者控除を次の通り引き上げる。
未成年者控除
20歳までの1年につき6万円→20歳までの1年につき10万円
障害者控除
85歳までの1年につき6万円(特別障害者は12万円)→85歳までの1年につき10万円(特別障害者は20万円)
1.贈与税率を下記の2つの構造区分に分け、高額贈与に対しては最高税率を50%から55%へ引き上げる。
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
200万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
300万円 〃 | 15% | 400万円以下の金額 | 15% |
400万円 〃 | 20% | 600万円 〃 | 20% |
600万円 〃 | 30% | 1,000万円 〃 | 30% |
1,000万円 〃 | 40% | 1,500万円 〃 | 40% |
3,000万円 〃 | 45% | ||
1,000万円超の金額 | 50% | 4,500万円 〃 | 50% |
4,500万円超の金額 | 55% |
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
200万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
300万円 〃 | 15% | 〃 | |
400万円 〃 | 20% | 〃 | |
600万円 〃 | 30% | 〃 | |
1,000万円 〃 | 40% | 〃 | |
1,500万円以下の金額 | 45% | ||
1,000万円超の金額 | 50% | 3,000万円 〃 | 50% |
3,000万円超の金額 | 55% |
2.相続時精算課税制度の適用要件を下記の通り見直す。
1.納税者が申告税額の減額を求めることができる「更生」の請求を行うことができる期間を5年(現行1年)に延長する。
2.課税庁が増額更生できる期間も5年(現行3年)に延長する。
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