今回は平成23年6月に改正された消費税法の内容について解説します。
同改正は適用期間が平成24年4月1日以後に開始する課税期間となっているもの、及び平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度からの適用となっているものであり、ケースによっては既に実際の作業は開始しておかねばならない内容であること、また、これまでの改正に比べても比較的インパクトの大きい内容であるため、改めて取り上げることとしました。
課税売上割合が95%以上の時に仕入税額の全額控除が認められる、いわゆる「消費税の95%ルール」の適用事業者の範囲が、当課税期間の売上げが5億円以下の事業者に限定されました。
これにより、当期*の課税売上高が5億円を超える事業者、又は当期の課税売上割合が95%未満の場合には、「個別対応方式」又は「一括比例配分方式」により、控除対象仕入税額の計算を行うこととなります。
*当期の課税期間が1年に満たない場合には、当課税期間の課税売上高を当課税期間の月数で除し、これに12を乗じて算出した金額(年換算した金額)で判定します。
ちなみに、「個別対応方式」を採用する場合は、課税期間中の課税仕入れを、
の3つに区分し、【1.の消費税額+3.の消費税額×課税売上割合】により控除対象仕入税額を計算します。
また、「一括比例配分方式」を採用する場合は、【課税期間中の課税仕入れに係る消費税額×課税売上割合】で控除対象仕入税額を計算することとなります。
平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用。したがって、個人事業者は平成25年分から、事業年度が1年である法人については平成25年3月末決算分から適用されます。
これまで事業者免税点の判定については、当課税期間の前々年もしくは前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1000万円を超えたかどうかでなされていましたが、これを、前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6ヶ月間(特定期間)の課税売上高が1000万円を超えたかどうかで判定されることになりました。尚、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することが出来るものとされています。
改正後の基準において、消費税の課税事業者もしくは免税事業者のいずれに該当するかを判定するためのフローチャートは以下の通りとなります。
下記STEP1~4において、1から順に4までのいずれかの項目に「はい」にあてはまるものがある場合、当課税期間において課税事業者となります。逆に1から4までのいずれの項目も「いいえ」としてあてはまるものがない場合、当課税期間にいて免税事業者となります。
注1.給与等支払額とは特定期間中に支払った所得税の課税対象とされる給与、賞与等の合計額です。未払給与等は対象となりません。
注2.特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)の判定により課税事業者となる場合は、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに所轄の税務署長に提出しなければなりません。
特定期間の課税売上高が1000万円を超えていても給与等支払額が1000万円を超えていなければ給与等支払額により免税事業者と判定することが出来ます。
課税売上高に代えて、給与等支払額で判定することが出来ることとされていますので、必ず両方の要件で判定を行う必要はなく、例えば特定期間の課税売上高の集計を省略し、給与等支払額の基準のみで判定しても差し支えないことになります。
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用。したがって、個人事業者及び事業年度が1年の12月決算法人の場合、特定期間は平成24年1月1日から6月30日となります。
これまで還付申告書を提出する場合、「仕入控除税額に関する明細書」に必要事項を記載して提出すれば良かったのですが、これに加え、控除不足還付税額のある還付申告書を提出する場合、課税資産の譲渡や輸出取引に係る項目などについて必要事項を記載する「消費税の還付申告に関する明細書」を添付しなければならないこととされました。
控除不足還付税額がない申告書(中間納付還付税額のみの還付申告書)には添付の必要はありません。
平成24年4月1日以後に提出する還付申告書から適用。個人事業者については平成24年分から適用開始となりますが、法人については課税期間の末日が平成24年2月29日である法人から既に適用が開始されています。
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