確定申告が必要な方とは、「前年1月から12月までの1年間に得た収入から必要経費などを差し引いた各種所得の合計額から所得控除額を差し引いた所得税額が住宅借入金等特別控除額等の税額控除額を上回る人」ということになります。
所得の切り口からいうと、下記のような方があてはまります。
これらの所得金額の合計額から基礎控除その他の所得控除を差し引いて計算した税額が配当控除額よりも多い人は確定申告しなければなりません。
退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を会社等に提出している場合は、会社側が所得税を算出し、退職金支払いの際に所得税の源泉徴収が行われるので、原則として確定申告する必要はありません。
しかしながら、「申告書」を提出しなかった場合は、退職金の20%が源泉徴収されるので、正規の税額との差を調整するため必ず確定申告する必要があります。
(なお、20%の税率で源泉徴収された場合で、その源泉徴収税額が正規に計算した税額よりも多い場合や「申告書」を提出して課税関係が終了した場合でも他の所得がなく所得控除が多い場合などは確定申告をすれば所得税が還付になるケースがあります。)
給与所得者の大部分の方は「年末調整」により所得税が精算されますので確定申告する必要はありませんが、次に該当するような場合には確定申告をしなければなりません。
(参考)以下、参考のために各種所得、所得控除、税額控除について説明します。
所得税はその発生原因から所得を次の10種類に分類しています。各所得は収入金額から必要経費等を差し引いて計算します。
利子所得 | 預貯金や国債等の利子 |
---|---|
配当所得 | 株の配当金や投資信託の収益分配金 |
不動産所得 | 地代やアパートの家賃収入 |
事業所得 | 自営業者やフリーランスの事業収入 |
給与所得 | 会社員の給与や賞与 |
雑所得 | 年金収入、原稿料、印税 |
一時所得 | 保険の満期返戻金や賞金・当選金 |
譲渡所得 | 不動産や株式、ゴルフ会員権の譲渡による収入 |
山林所得 | 木材の伐採や山林の譲渡による収入 |
退職所得 | 退職金など退職時に一時金で受け取る収入 |
所得控除には下記の15種類があり、それぞれ一定の金額が控除の対象となります。
基礎控除 | 納税者(申告者)すべてに一律の金額「所得税(38万円)・住民税(33万円)」が適用される |
---|---|
雑損控除 | 災害、盗難、横領により、自己または自己と同一生計の親族で基礎控除額以下の所得者の有する資産に損失を受けた場合に一定の金額の所得控除が適用される |
医療費控除 | 1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が「10万円超える」場合、または、「総所得の5%(総所得金額200万円未満の人)を超える」場合、「最高200万円」まで税金の還付、軽減が受けられる制度のこと。年末調整では控除できないので、「確定申告」が必要 |
社会保険料控除 | 自己または自己と同一生計の親族の負担すべき健康保険、介護保険、厚生年金保険、国民年金等の社会保険料を支払った場合に、その「支払った社会保険料全額」を控除、差し引くことができる |
小規模企業共済等掛金控除 | 「小規模企業共済」などの掛け金を支払った場合に、基本的に、「支払った掛け金全額」を所得額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
生命保険料控除 | 1月1日から12月31日までの間に生命保険料を支払った場合に、その保険料に応じて所得税と住民税の控除が受けられる制度のことで、個人年金の保険料を支払った場合には生命保険料控除とは別に、「個人年金保険料控除」の対象となる。平成24年1月1日以降に契約した介護医療保険も新たに「介護医療保険料控除」の対象となった。 |
地震保険料控除 | 自己または自己と同一生計の親族の有する住宅・家財の地震等損害に基因して保険金等が支払われる損害保険契約等に基づいて、1月1日から12月31日までの間に地震保険料を支払った場合に、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる |
寄付金控除 | 特定の団体に寄付をした場合に、所得税や住民税の控除が受けられる制度のことで、寄付金控除が受けられる寄付金のことを「特定寄付金」と言う |
障害者控除 | 納税者はもちろん、配偶者や扶養親族(老人扶養親族)が、「障害者」となった場合に、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
寡婦控除 | 「夫と死別・離婚後まだ再婚していない・夫の生死が明らかでない」人で、扶養親族、または生計を共にする扶養親族でない子供がいる場合、かつ所得金額が500万円以下の場合などに、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
寡夫控除 | 「妻と死別・離婚後まだ再婚していない・妻の生死が明らかでない」人で、「年間総所得金額が38万円以下の生計を共にする子供」がいて、かつ納税者の年間総所得金額が500万円以下の場合、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
勤労学生控除 | 勤労学生に該当する場合に、所得額が一定金額以下であれば、一定の金額、(一律、所得税27万円・住民税26万円)を所得額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
配偶者控除 | 納税者と生計を共にする配偶者に所得がない場合、または所得があっても一定金額以下(38万円以下)の場合に、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
配偶者特別控除 | 配偶者控除を補なう形で定められた制度で、納税者と生計を共にする配偶者の所得が一定金額(38万円超~76万円未満)の場合に、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
扶養控除 | 配偶者以外の扶養親族と生計を共にしている場合に、一定の金額を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと |
税額控除の主なものには下記のようなものがあります。
配当控除 | 株主が配当金を受け取った際に源泉徴収された「所得税・住民税」の控除(還付)が受けられる制度で、基本的には確定申告が必要となる |
---|---|
住宅ローン控除 (住宅ローン減税) | 新築・中古の住宅(敷地)をローンで購入、または住宅を増改築(リフォーム)した場合に、一定の条件を満たせば、「最長10年間」年末のローン残高に応じて所得税が軽減、還付される制度のこと |
外国税額控除 | 日本に居住している者が、国外所得について外国の法令で所得税に相当する租税の課税対象とされる場合、日本及びその外国の双方で二重に所得税が課税されることになるので、これを調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができる制度のこと |
政党等寄付金特別控除 | 「政党・政治資金団体」に対する寄付を行った場合に、税額の控除が受けられる制度のこと |
お気軽にお問合せください
山口県山口市で相続のご相談は高橋克行税理士事務所にお任せ下さい!
当税理士事務所は、企業及び個人の決算申告はもとより、相続・贈与等にも対応しています。税務・会計の専門家としての経営アドバイスにも自信があります。
山口市以外での相続のご相談も承っております。どうぞお気軽にご相談下さい。